退職を検討されている方へ

一般的な状況

がんに罹患することを直接的・間接的な理由として退職という選択をされる方はとても多いです。

考え方のポイント

仕事を退職するという選択肢が見えてきたとき、考えるポイントは二つです。一つ目は、退職以外の選択がないのか、どうか。もう一つは、退職を選択する場合、その後の生活を見越して自分にとって最善の「辞め方」を考えるということです。

治療やその副作用からこれまでのように仕事ができない場合があります。そのとき、すぐに「辞めます」と会社に言う前に、少し立ち止まってみましょう。

あなたは自分の意思で辞めたいと思っていますか。周囲への気兼ねや、職場の雰囲気、収入の減少等から判断して辞めざるを得ない、と思っているのであれば、まずは、会社の制度や公的な制度を活用する余地はないか、を考えてみましょう。また、自分だけで考えたり、調べたりするのが難しい場合には、周囲の信頼できる人に相談してみるのも一つの方法です。

最近では、こうした相談に対応する公的な窓口が徐々に増えてきています。がん診療連携拠点病院には、「相談支援センター」があり、働くことに関する相談も応じるようになっています。また、社会保険労務士は、会社の制度や健康保険や年金等の制度に詳しい専門家です。各都道府県の社会保険労務士会では、無料の労働相談を行っていますので、そうしたところを利用するのも一つでしょう。大切なのは、一人で早急に結論を出さないことです。相談して現状を整理する中で、もしかしたら、「退職」以外の選択肢が見つかるかもしれないからです。

「退職」を選択する・選択せざるを得ない場合もあるでしょう。その際も、退職前に退職後の生活設計を具体的に検討しておくことが大切です。

退職後、あなたは仕事を離れ、療養に専念するのでしょうか。それとも、再就職を目指すのでしょうか。それぞれの生活を送るうえで、あなたを支える公的・私的な制度はゼロではありません。

例えば、退職後の生活を支えるものとして、健康保険では、退職後の傷病手当金があり、年金保険では障害年金等があります。また、現在加入している健康保険に引き続き加入できる任意継続加入制度も加入することによりメリットがあることがあります。また、国民健康保険・国民年金には、退職後の状況によっては、保険料の減免制度があるので、その利用も検討してみましょう。

なお、これらの制度は、利用にあたって様々な条件や申請時期のルールがあります。そうした条件・ルールを退職前にあらかじめ知っておくことが、これらの制度を活用するうえで非常に大切なポイントとなります。


※このページの情報は一般論として記載しています。全ての人に該当しない可能性がありますが、参考情報としていただけましたら幸いです。
(担当: 特定社会保険労務士 藤田久子)